親知らずと隠れむし歯

本日は、親知らずに隠れた深い場所で、気づかないうちに進行してしまう隠れむし歯についてお伝えします。

見えない場所で目立った症状もなくむし歯は進行し、ある日歯が大きく割れてしまいました

こちらのレントゲンの患者さんは、左下の奥歯が欠けてしまったため当院を受診されました。
きちんとセルフケアをされていて、お口の中はとてもきれい。これまでむし歯になったことはほとんどありませんでした。
左下の奥歯が時々しみるような気がすると思っていたものの、気になるほどではなかったので様子を見ていたある日・・・左下の奥歯が大きく欠けてしまいました。

親知らずの抜歯のためCTを撮影したところ、
むし歯は歯の根の深い部分まで広がっていました

きちんとセルフケアがなされたお口の中に、なぜこんなにも大きくて深いむし歯ができてしまったのでしょうか・・・?

親知らずは、まっすぐ生えることは少なく、横向きで生えたり、斜めに生えることが多いです。
しかも、きちんと生えきらずに、前の歯の根っこにぶつかって途中で止まったままになることも多く・・・。
そうなると、親知らずと一つ前の歯の間には、歯磨きではお掃除しきれない深い場所に汚れのたまり場となる隙間ができてしまいます。この場所にたまってしまった汚れは、歯科医院でのお掃除でも取り除くことが難しくなってきます。
さらによくないことに、このむし歯は、お口の中からは見えない深い場所から始まるため、丁寧にお口の中をチェックしても見つけることがとても難しいのです。

この方の隠れむし歯も、上記のような理由で知らない間に大きくなり、歯が崩れるほどになって初めて見つかったのだと思われます。定期健診で歯科を受診されている方は、レントゲンを撮影した際に見つかることも多いです。

当院では、初診時に、このようなリスクの高い親知らずがないかを必ずチェックしています。
予め親知らずを抜歯することで、このようなむし歯を防げる可能性が高い場合は、抜歯もご提案しています。その際には、必ずCTを撮影し、お体の状態(既往や服薬など)もしっかり確認した上で、安全な抜歯ができるように体制を整えています。

歯茎の下の深い部分に達するようなむし歯は、残念ながら残すことが難しい場合も少なくありません。
見えない場所で知らない間に進行するむし歯で大切な歯を失うことがないよう、親知らずの下の隠れむし歯を一度チェックしてみてくださいね。